保護猫を通じて学んだこと
2020年、秋、コロナの真っ只中、1匹の保護猫に出会った。
目の表情が豊かで人間みたいだな、と思ったのを覚えている。
その前の年の4月に義母が亡くなった。夫の母であり、広史鍼灸院、院長の母。
アパートを転居し、半年後に出会ったのだが、最初は縄張り意識からか睨みつけるような顔をしていて、とても印象に残った。
いつも、その辺りに居て、だんだん顔馴染みになって来ると、亡くなった義母によく似た目をしていることに驚いた。
時間はかかったが、私が帰って来ると一緒に部屋に入って、お水を飲んでおやつを食べて一緒に寝るような生活が普通になった。
それが、つい先日、伊豆研修の後、9月の終わりに、急によろけて倒れるようになっていた。猫が転んでよろけているというのは見たことがなかったし、その激しさはかなりのもので、かなりショックを受けた。しかし、少しでも良くなって欲しく、こういった症状がなんなのかを調べ、私の中では〈特発性前庭障害〉かな、と思った。高齢の猫にはわりとよくあり、見た目が大変そうな割には予後が悪くないというもの。
でも、倒れて階段を15段ほど転がり落ちたり、何も食べられない、暗がりに1人籠る、姿を見せなくなるなど、死んでしまいそうな感じに思え、毎日気が気でなかった。
そんなことが1週間続く中、ご飯も食べられないから、あと1週間ぐらいで命が尽きてしまうかな、という時、竹内先生に「何もやってあげられることがありません。」と話すと、「魂に寄り添ってあげることは出来るよ。」
と、言っていただき、じゃ、安心してあの世に逝けるように、と願いを込めて、焦先生が撮られた、奈良の大仏様のお写真を引き延ばし、部屋に飾ろうと、コピーしたものを持ち帰った。
すると、本当に不思議なことに、その夜から、ご飯を食べられるようになった!
あれから、また6日ほど経ち、食べられたり食べられなかったりだが、なんとか持ちこたえている。
また、私は、今まで本気で命に向き合うということをして来ただろうか?という疑問も出て来た。
こちらの猫については、食べられそうなものを調べて、鶏の手羽先を40分煮込んだスープ、天然真鯛のアラを煮込んで、白い肉の部分なら食べられるか?など、今までやったことが無いようなことを一生懸命やり、スープが飲めた時の嬉しさったらなかった。これが飲めれば、元気になれるかもしれない!
倒れたり、よろけは改善され、階段もゆっくり、慎重に一段ずつ降りられるようになっている。
たくさんは食べられず、そうとうに痩せてしまった。
また食べられなくなれば、やはりお別れは近いかもしれない。
でも、今回のことは、命に向き合うことの大事さ、焦先生が居てくださることの大きさを心底実感した出来事だった。
私は鍼灸院の治療者だから
猫だけでなく、本気で人間の命に向き合わなければいけないのだと気づかせてもらった。

